チューリッヒの多彩な空気
2023年5月15日

チューリッヒには金融と正確さの街という評判があります。それは間違いではありませんが、半分でしかありません。スイスの金融システムを動かしているのと同じ街が、裏通りのバーでダダを生み、毎夏ヨーロッパ有数の巨大なストリートパーティを開き、五時になるとオフィスを空にして皆が川へ泳ぎに行きます。
チューリッヒを楽しむコツは、歩いて回れる範囲にいくつもの別の街が同居していると理解することです。それぞれが何のための場所なのかを見ていきます。
旧市街
リマト川をまたぐアルトシュタットに、この街の歴史的なものはほぼすべて集まっています。
グロスミュンスター
東岸に立つ双塔の教会で、1519年にフルドリッヒ・ツヴィングリがスイス・ドイツ語圏の宗教改革を始めた場所です。この一点が何よりもチューリッヒを形づくりました。飾りを削ぎ落とした内部、勤労の倫理、見せびらかしへの警戒心。塔の一つに登ると、川の先の湖まで見渡せます。
フラウミュンスター
真向かいにあり、多くの人が橋を渡る理由になっている教会です。マルク・シャガールが内陣のためにステンドグラス五面を手がけ、1970年に設置されました。深い青と赤が時刻によってまったく違う表情を見せる、並外れた作品です。内部の撮影は制限されていますが、この場所に関しては妥当な判断だと思えます。
聖ペーター教会
少し歩いた先にあり、ヨーロッパ最大の文字盤を持つ教会時計で知られます。観光案内の埋め草のように聞こえる類の記録ですが、真下に立つと本当に驚きます。
リンデンホーフ
旧市街の真ん中の小さな丘で、ローマ人が関税所を置いた場所です。今は菩提樹の並ぶ砂利のテラスになっていて、チェスをする人がいて、屋根越しの眺めは無料で見られるものの中で一番です。1292年にチューリッヒの女たちが兵士に扮して包囲軍を欺いたという伝説があります。古くからよく語られてきた話で、確かめようはありません。
チューリッヒ・ヴェスト
中心部の北西にある旧工業地区は、街のクリエイティブ地区に生まれ変わりました。鉄道高架のアーチには店とマーケットホールが入り、フラウ・ゲロルツ・ガルテン (Frau Gerolds Garten) は貨物コンテナを積み上げたバーと庭になっていて、一時期スイスで一番高かったプライムタワー (Prime Tower) の最上階にはバーがあります。
チューリッヒが銀行であることをやめ、ベルリンのように振る舞い始めるのがこの一帯で、夜遊びの中心もここに移りました。
ダダが生まれた場所
1916年、旧市街のシュピーゲルガッセ1番地のバーで、亡命者と反逆者の一団が第一次世界大戦への反応として無意味な上演を始め、それをダダと名づけました。キャバレー・ヴォルテールは今も同じ建物にあり、小さなアートスペース兼カフェとして機能しています。当時レーニンが同じ通りの数軒先に住んでいたことを、チューリッヒはいくらか嬉しそうに口にします。
水辺
チューリッヒは湖の北端に位置し、そこから流れ出るリマト川が街の中心を貫きます。この街と水との関係こそ、訪れる人が最も予想していないものです。
夏になると、湖と川沿いにバーディ (badi) と呼ばれる公共の水浴場が開きます。木の杭の上に建つ歴史的な建物もあり、フラウエンバートは日中は女性専用、夜はバーになります。オーバラー・レッテンは川の一区間で、人々は上流から飛び込んで流れに乗って泳ぎ下ります。入場は安いか無料、水はたいていの基準で飲めるほどきれいで、街じゅうが集まります。
濡れたくない人には、ビュルクリプラッツから出る湖船があります。短い周遊なら通常の交通券でごくわずかな追加で乗れます。
山の上へ
ユートリベルクは街のすぐ背後にそびえ、中央駅から近郊電車で二十分ほどです。頂上からは湖と街、晴れた日にはアルプスの長い連なりが見えます。ここに暮らす人にとっては、仕事帰りのふつうの散歩コースです。
食べること、飲むこと
チューリッヒ風ゲシュネッツェルテス、仔牛肉の薄切りを生クリームと白ワインのソースで煮てレシュティを添えた一皿が郷土料理で、伝統的な店ならまず載っています。フォンデュとラクレットは冬のもので、地元の人も実際に食べます。物価は高く、安く食べる方法はランチメニュー、チューリッヒ・ヴェストのマーケットホール、そしてスイスのスーパーの惣菜が驚くほど上等だという事実です。
歩いて見る
旧市街、湖畔、チューリッヒ・ヴェストの入口は互いに三十分以内の距離にあり、その間を歩くことが街の部分ごとの違いを体で感じる一番の方法です。街歩きゲームを使えば旧市街を通るルートと各地点で解く課題が手に入ります。面白いものが小さく、うっかり通り過ぎやすいこの街ではよく機能します。
よくある質問
チューリッヒはスイスの首都ですか
いいえ。最大の都市であり金融の中心ですが、政府の所在地はベルンです。そもそもスイスには正式に定められた首都がありません。
実際どのくらい物価が高いですか
レストラン、飲み物、ホテルはとても高いです。交通、美術館、屋外のものはそれほどでもありません。歩く、泳ぐ、ランチメニューで組み立てた一日は、夕食を軸にした一日よりはるかに安く済みます。
何日必要ですか
二日です。一日を旧市街と湖に、もう一日をチューリッヒ・ヴェストとユートリベルクに。クンストハウスとスイス国立博物館をきちんと見るなら三日目を足してください。
行くのに一番いい時期は
六月から九月、バーディが開き街が外で暮らす季節です。四月にはゼクセロイテンがあり、雪だるまの人形を焚き火で爆破し、燃え尽きるまでの時間でその夏を占います。八月はストリート・パレードです。
ドイツ語は必要ですか
いりません。中心部では英語がどこでも通じます。地元のスイスドイツ語は標準ドイツ語とかなり違うので、学校で習ったドイツ語が地元同士の会話にまるで歯が立たなくても驚かないでください。
グループでも楽しめますか
楽しめますし、交通が味方します。トラムはどこへでも行き、湖船は団体を受け入れ、旧市街はコンパクトです。企業や団体向けの活動については法人・グループ向けに用意しているものをご覧ください。
一日の組み立て
うまくいく形はこうです。午前に旧市街とシャガールの窓、リンデンホーフとお昼、午後は湖か川、夕方にチューリッヒ・ヴェスト。午前にルートがほしければゲームの遊び方はこちらをご覧ください。開催のご相談はお問い合わせから承ります。この先も旅を続けるなら、一時間先の静かな首都を扱ったベルンの歴史的建造物のガイドもどうぞ。